TOE BY TOE 教材でのデコーディング活動 2

  • 2017.09.06 Wednesday
  • 10:09

 

次に、TOE BY TOE でのデコーディング活動におけるつまずきとその対策についてご紹介します。便宜上、音をカタカナで表記していますことをご承知おきください。

 

 

 

 

 

 

 

1)音が似ている母音の混同

 

a, u, o の混同によるつまずきはとても多くみられます。例えば、pag, pug や、fup, fap, fop の読み間違いです。実はこの3つの母音は日本人にはどれもアのように聞こえてしまうので、特にローマ字読みのア、ウ、オで覚えているとかなり混乱します。(私はアメリカ英語なので o もアのような音になりますが、イギリス英語だとオのようになります。日本人には後者の方が分かりやすいかもしれませんね。)

 

生徒には「ネイティブのような発音を求めているのではなく、自分なりに読み分けられているかを重視する」ことを明確に伝え、私もそこを丁寧に確認していきます。これは後々書くことにおいて非常に重要になってきます。なぜなら、読み分けられていないとつづりを正確に書くことができないからです。

 

対策としては、母音の練習を別途行います。できるようになったら終わりではなく、TOE BY TOE に取り組みながら母音の練習も継続するとうまくいくようです。その際、それぞれの母音に口の形をイメージした「手の動作」を付けて練習することもあります。これは動作の記憶がよい生徒の場合、有効なように感じます。

 

反対に、発達障害をお持ちの生徒のなかには体の使い方が不器用なお子さんも少なからずいて、特に口は自分では見えずうまく音が作れないことがあります。そのときは必要に応じて鏡を使って練習します。

 

 

 

2)名前読みと音読みの混同

 

e と i の混同、a と e の混同も非常に多くみられます。例えば、seg を sig と読んだり、pat を pet と読んだりする間違いです。これは、e の名前読み「イー」と i の音読み「イ」が似ているため、また、a の名前読み「エイ」と e の音読み「エ」が似ているために起こる混同です。

 

これは私がなかなか対策が難しいなと思うところです。1と同様に苦手な母音だけ取り出して練習するのですが、案外すらすら読めることがあるのです。TOE BY TOE ではブレンディング(音を混成する)の負荷がある分、デコーディング(文字から音を想起する)が難しくなるのかしら?そこは引き続きよくみていきたいと思います。母音に蛍光ペンで生徒に色を付けてもらうこともあります。

 

また、ある生徒は egg とういう単語を知っていたので、紙に書いた文字を見せて「egg のエ!」と言いながら木製の卵のおもちゃを手渡してみたところ、e と i を混同することがほとんどなくなりました。視覚(egg の文字)・触覚(つるつるの手触り)や、嗅覚(木のいい香り)などの感覚を使っていることになります。いろいろ試してみて、その生徒に合う方法を探ってみるといいかもしれませんね。

 

 

 

3)b, d, p, q の混同

 

形が似ている b, d, p, q は、視覚的な認知が苦手な生徒だけでなく、音韻意識につまずきのある生徒もよく間違えます。例えば、bep を dep と読むような誤りです。それぞれの音に手指の動作を付けて別途練習します。

 

これは英語を母語とする子どもたちも苦手とするところなのか、TOE BY TOE の中にも b, d, p, q の読み練習だけで1ページが使われています。別途練習してある程度できるようになったら、そのページに取り組みます。自作でプリントも作成し、いろんなフォントで練習するのも効果がありました。

 

 

 

 

 

 

 

4)ダイグラフの読み

 

2文字で1音のダイグラフは、かなり難しいです。th, ch はまだ分かりやすいようですが、ai, ie などは戸惑うことが多いです。(このときかなり難しいようなら、ジョリーフォニックスのフィンガーブックで復習すると「ああ、これね!」とすっきり分かるようです。)

 

対策は、ダイグラフを探して○で囲むワークをします。最初は私が予め○で囲っておいたものを生徒に読んでもらいますが、慣れてきたら自分で囲んでもらうようにします。ダイグラフの入った語に進む前に母音はしつこいほどやっているので、このとき二重母音を探すのは上手になっているはずです。

 

 

 

5)音の数が多い語の読み


文字数が多い語、つまり音素数の多い語は、ブレンディングが難しくなるので読みづらいようです。ワーキングメモリの問題もかなり影響するように思います。この場合、前の記事で書いたように、オンセット‐ライム単位で練習するとうまくいくことがあります。また、音の数と同じ数のおはじきを提示し、視覚的な補助とするのもよいようです。

 

 


共通して重要なのは、母音の習得と「文字から目を離させない」ことだと思います。文字から音を想起する際、つい目が文字から離れてしまいます。(私たちも何かを思い出すとき、自然に目をつぶったり宙をぼうっと眺めますよね。)また、私が読むのを聞かせたりリピートしてもらうときも、必ず文字を見るように促します。文字と音を対応させていくためには、文字を見ることが不可欠です。

 

加えて、TOE BY TOE があまりうまくいかない場合は、音韻意識活動を取り入れるとよいです。それについては、また別の記事で。この記事の実践についてですが、前回と同じく神戸山手短期大学の村上加代子先生からのアドバイス・情報に基づく実践であることをここに記載します。感謝。

 

 

 

以上、ひとりひとりの生徒の様子を思い出しながら書いてみました。まだまだ私の力不足・知識不足な点や、しなければいけないことにも気付きました。今後も力を尽くしていかなければ、と改めて強く思います。

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