読みの困難が大きいときは音韻認識活動を

  • 2017.10.17 Tuesday
  • 19:11

 

Toe By Toe などで語を読む活動をする際、VCの2音の語まではスムーズに進んでも、CVCの3音の語になると急につまずくことがあります。読みのスピードが下がったり、読み間違いが増えたりします。間違いを繰り返すことで間違いのまま定着してしまったり(いったん入ったものは修正が難しいです)、意欲が低下してしまったりということを避けるため、そのようなときはいったん文字を離れて音韻認識活動を行います。

 

 

音韻認識とは、音を操作する力です。実は私たちは子どものころ、遊びの中で日本語の音韻認識を育む活動をしています。しりとりでは最後の音だけ取り出す力が求められますし、「た」抜き言葉遊びでは聞いた音をいったん頭の中に留めておき、そこからある音だけ削除するという力が必要です。

 

 

回文では聞いた音を頭の中で逆さまに並べ替える力が必要ですね。(ワーキングメモリという、情報を一時的に保持しつつ、同時に物事を処理する力の問題もかなり関係してきますが、それについては後ほど述べます。)この力が、読み書きの基礎となるのです。その英語バージョンが、ここで行う音韻認識活動です。まずは、音のたし算(混成)から行います。文字は一切使いません。

 

 

例えば、/u/, /f/ と私が言ったのを聞いて、生徒が「uf」と答える、/b/, /e/, /x/ と言ったのを聞いて、生徒が「bex」と答える、というふうにします。もちろんここでも、指導者はアルファベットを音読みで言います!そしてやはり母音は難しいので丁寧に。詳しくは Toe By Toe の過去記事をご覧くださいね。

 

 

ただ、ここでも3音以上の語になると、うまくいかないことがあります。例えば、/a/-/t/, /d/-/ay/ などの混成はできても、/p/-/i/-/n/, /r/-/oa/-/d/, などでつまずくことがあります。いくつか原因はありますが、ここでは2つ原因を挙げ、その対処についてご紹介したいと思います。

 

 

1)言語性ワーキングメモリに問題があると思われる場合

 

 

上で少し触れた言語性ワーキングメモリについては、発達検査や知能検査などで予め分かっているケースもありますが、やはり実際の学習の様子を見て分かることのほうがはるかに情報量は多く、学習の場面において役に立つように思います。(特に算数や数学を見るとすぐ分かりますね。)気になったときは、数唱(順唱・逆唱)させてみたり、聞く力を使うクイズに答えてもらったりして確認することもあります。普段から聞き返しが多くないかもよくみます。

 

 

この場合、音素より大きな単位であるオンセット‐ライム単位で混成していきます。単位を大きくすることで音の数が減りますので、短期記憶の負荷を減らしつつ混成活動を行うことができます。母音の前の部分がオンセット、母音を含む後ろの部分がライムです。

 

 

 

 

 

 

 

私がオンセットを言うと同時に片手を出し(生徒から見て左側の手)、ライムを言うと同時にもう一方の手(生徒から見て右側の手)を出し、両手をくっつけるときに混成してできた音を言ってもらいます。一定のリズムで行い、途中で余計なことを言わないようにすることが大切です。余計なことを言うとその音が頭に残ってしまい、うまく混成できません。慣れるまでは、ライムは同じでオンセットだけ変えた語を連続で練習するとスムーズです。

 

 

また、音の数と同じ数のおはじきを提示し、視覚的な補助とするのも良いようです。上の赤い4つのおはじきは、例えば /s/-/p/-/a/-/n/ の4つの音を表しています。おはじきをひとつずつ指で押さえながら音を言うと分かりやすいようです。場合によっては、赤を母音、青を子音とするのもよいかもしれません。(以前の記事でも書きましたが、色を扱うことが活動に含まれる場合は、色覚に特性のある生徒(色覚異常など)に配慮する必要があります。)

 

 

 

 

 

 

2)母音と子音の結び付きが困難な場合

 

 

例えば、/d/-/a/-/t/ の da の部分の混成が困難なことがあります。CVはローマ字から連想しやすいだろうと思われるかもしれませんが、ディスレクシアのある生徒のなかには、既習であってもローマ字がほとんど定着していない生徒が多くいます。(しかしだからこそ、この活動を行うとローマ字読みにならずにとてもきれいな発音になります。ただ発音にこだわるわけではないので、これはおまけの喜びですね。)

 

 

国語の特殊音韻の読み書き学習で、例えば「きゃ」を「き・・・・や」「き・・・や」「き・や」「きゃ」と練習することがありますよね。それと同じことを英語でもして見せると分かりやすいようです。このようなワークブックがありますので、このページを参考に(文字なしで)音韻認識活動を行います。

 

 

A Workbook for Dyslexics:Cheryl Orlassino p.16 

 

 

 

 

 

以上のような音韻認識活動を行い、文字なしでの音の足し算がスムーズに進むようになったら、改めて文字を使った混成に戻るとうまくいくことが多いです。「あっ、そういうことやったんや」とつぶやき、「もっと読みたい!」と、服やかばんに書いてある英語を読み始めて、そうか、それが読みたかったのね〜!と思う瞬間をとても愛おしく思います。

 

 

なお、音韻認識活動については、神戸山手短期大学 村上加代子先生にご教授いただき実施しています。村上先生とは英語教育ユニバーサルデザイン研究会(https://www.manabishien-english.jp/)でご一緒させていただいていますが、改めてここに感謝の意を表します。

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